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NPO Vハート(ベトナム障がい児者支援ネット)

東京都

ベトナムで障がい児者の自立を支援

団体名・プロジェクト名

NPO Vハート(ベトナム障がい児者支援ネット)

NPO Vハート(ベトナム障がい児者支援ネット)の写真

活動エリア ベトナム南部地域(ホーチミン市およびビンズオン省を中心とする)
ジャンル 医療・福祉 国際協力 

主な受賞歴や実績

平成25年11月 公益財団法人社会貢献支援財団 社会貢献者表彰

この活動について教えて下さい

私達NPO・Vハートは、ベトナムにおける知的障がいを持つ方々の社会進出の手助けを目的として2002年に日本の大阪で設立いたしました。自ら障害を持つ篤志家の方から「ベトナムの障がい児者のために」と受け取った募金が出発点となっています。

私達NPO・Vハートは、ベトナムに心を寄せる多くの方々のご好意を、ベトナムの障がい児者福祉に活かすことを目的に設立した非営利団体です。日本のこの分野での経験を生かし、人材を送り、ベトナムの人々と手を取り合いながら将来にわたって役に立つ支援に取り組んでいます。

どうしてこの活動をはじめたんですか?

ベトナムは19世紀半ばフランスの植民地にされ、第二次世界大戦時には日本軍の侵略支配にも苦しんだと言われています。大戦後はさらに、1975年4月までの15年間アメリカ軍と戦い勝利しました。今日のベトナムの出発は、他国の長い支配による社会基盤の未整備と戦争による国土の荒廃からでした。以後四半世紀、1986年のドイモイと呼ばれる経済開放政策を経て、意気高くしかも大らかに国づくりを進めています

しかし人々の努力にも関わらず、緊急に経済的社会的援助を求められている分野があります。それは、障がい児者福祉です。障がい児学校も障がい者施設も絶対数が足りません。また、アメリカ軍が散布した枯れ葉剤は世代を超えて影響を及ぼし、今もなお、障がい児が出生しています。

ベトナムにおける障がいとは、目に見える障がいを指す場合が殆どで、知的発達障がいや自閉症スペクトラム領域の人達の障がいは政府からなかなか認められておりません。そのため、知的障がいを持つ人たちは公的な支援を受けることが出来ず、殆どの方々が成人しても職に就く事が出来ず、家の中に閉じこもって生活しています。

Vハートは当初、ベトナムの首都ハノイや、ベトナム第一の商都ホーチミン市での活動を考えていました。しかし、どちらの人民委員会からも活動の許可は得られませんでした。そのような中、ホーチミン市からおよそ30キロ離れたビンズォン省からの招聘があり、私達の第一歩はビンズォン省の省都トゥザウモット市から始まりました。
 
2003年3月に、ビンズオン省孤児養育センターに入所する障がい児たちの職業訓練として、cocoro織りを教える指導者の雇用費用の支援をおこないました。ビンズォン省孤児養育センターは、文字通り孤児が入所する施設ですが、ベトナムの法律で障害児は親がいても養育できない場合は入所することが可能です。Vハートは、ベトナムでの障害児自立支援活動をこの施設から始めました。

2006年10月には、孤児養育センター敷地内に障がい児者のための『障がい者職業訓練センター』を建設しました。この訓練センターにおける障がい児者の職業訓練という実績は、政府からも評価され、2009年3月にはNguyễn Thị Doan(グェン・ティ・ゾアン)ベトナム国家副主席の表敬訪問を受けるとともに、2010年からその運営はビンズオン省労働傷兵社会局に引き継がれ、社会局の職員が責任を持って運営しています。2012年現在、約100名の障がい児者達が、cocoro織りだけでなく、パソコン操作や電気修理技術など、社会で働くことの出来る技術を学び、その内約50名が寄宿生活をしています。

また、ホーチミン市ゴバップ区内に障がい児者自立支援作業所「G-CoCoRo(ジーココロ)」の設立を支援しました。ベトナム政府からの援助は、知的障害者の作業所にはなく、知的障害者の作業所でうまく機能しているところはほとんどありません。この作業所は、Vハートによる出資率100%のベトナムの作業所です。この作業所にはNPO・Vハートベトナム事務所をおき、作業所の運営支援をしています。現在15人の知的障害者が通所し、4名の指導員とともに作業をしており、彼らの作品はホーチミン市内にあるFamilyMartをはじめとするさまざまな場所で販売されています。

この活動の遣り甲斐や喜びはどんなときに感じますか

それまで家の中で引きこもった生活をしているしかなかった仲間たちでしたが、知的障がいを持ちながらも、毎日作業所に出勤し、仲間とともに働く生活は、彼らだけでなく彼らの家族にも大きな希望をもたらしたことです。

今後の夢と目標を教えてください

障がい児者自立支援作業所「G-CoCoRo(ジーココロ)」の、今後の安定した継続です。

この活動に参加してみたいと思う人にひと言

興味を持たれた方は、可能であれば一度ベトナムのG-CoCoRo作業所へ足を運んで頂きたいと思う次第です。スタッフや通所者が大歓迎して迎え入れます。インターンシップも歓迎しています。過去に3週間の泊まり込み生活をされて、今でも年に数回訪問をして下さる青年達がいます。また、近年では大手旅行会社が主催する、ベトナム福祉ボランティアツアーにも組み込んで頂いております。http://eco.his-j.com/volunteer/tour/TF-FSF0003-ECO

取材者のコメント
古川勇樹 今回の取材まで、ベトナムでは知的障がい者への支援が薄いということを初めて知った。経済成長著しい発展途上国では、得てして社会福祉よりも産業育成やインフラ整備に国の予算が重点配分されることはよくあることだ。ベトナムの社会福祉もまだまだこれからやらなければならないことをたくさん抱えているようである。経済成長を経て市民社会の成熟と社会福祉の拡充が進んできた日本の経験が、今まさに経済発展を遂げつつあるベトナムで、行政の支援の手から漏れてしまいがちが人々を救い上げることにつながっていることをうれしく思った。
団体・プロジェクトの概要
代表者 中西寿夫(事務局長)
住所 東大阪市南鴻池町2−12−22
TEL/FAX 06-6745-8087
お問い合せ vheart@vhn.jp
URL http://cocoro.vhn.jp