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特定非営利活動法人子ども未来研究所

東京都

アートセラピー教室でのびのび楽しみながら子供の心を育てる

団体名・プロジェクト名

特定非営利活動法人子ども未来研究所

特定非営利活動法人子ども未来研究所の写真

活動エリア 東京都、埼玉県、神奈川県、大阪府、兵庫県、北海道、長野県
ジャンル その他 学術・文化・芸術・スポーツ 

主な受賞歴や実績

1989年 大宮JCにて柴﨑嘉寿隆(当団体理事長)が小中学生のためのキャンプを提供。日本JCにおいて、その年の優秀事業として表彰。翌年より「グロースセミナー」として独自にスタート。
1999年9月 東京都より特定非営利活動法人の認証。親子のためのアートセラピー教室事業スタート。
2001年 世田谷区にて小学校と協力し、「世田谷一家殺害事件」後の地域のケア活動
2004年 新潟県小千谷市にて震災後のケア活動
2011年 福島県にて震災後のケア活動
2014年 Today Is The Day, Singaporeと共同で福島県広野町の子どもたちを対象にした「アートによる国際交流プロジェクト」を開催。
2015年 全国でアートセラピー教室(30教室)展開。夏休み、冬休みには6つの野外体験学習セミナー(グロースセミナー等)を開催。

この活動について教えて下さい

子ども未来研究所は、子どもたちと子どもたちに関わる大人たちの心の健康のための「心の予防教育機関」です。私たちは子どもたちが健康的に自立していくために活動を提供しています。子ども達が自分で考えたり決めたりしていけるようになるためには、その前に自分の感覚を育てることが大事だと私たちは考えています。

子どもたちが「味わうこと」と「自分で考えたり決めたりすること」をバランスよく自分の中に育てていくために、私たちは主に2つの活動、アートセラピー教室と野外体験学習を提供しています。

全国に約30教室ほどあるアートセラピー教室は、子どもの心の成長にあわせて、幼児クラスと小学生クラスに分かれています。クラスの中では、様々な素材(絵の具、粘土、段ボール、落ち葉、石、枝、スライム等)を手や全身で触れて、五感を養っていっています。また、五感が十分に刺激されていることは、心の安定や自分を尊重する心の土台にもなると考えています。

クラスは少人数制で、子ども3人ほどに一人の割合でアートセラピストがつきます。アートセラピストたちが個々の個性やペースにあわせて寄り添います。評価や優劣のない空気の中で子ども達はのびのびとアートを楽しんでいます。この、べたべた楽しいけど、時間がたつとちょっと気持ち悪いなあ、とか。色が混ざる様子が不思議でどうしても目が離せないぞ、とか。どうしてもこの色じゃないといやだ、とか。子どもなりに好みが表れてきます。

子ども達一人ひとりのペースや表現をセラピストたちは一緒に楽しんだり、おもしろがったりしてそばで過ごすのですが、結果、その様子はお母さんたちには「子どもがどんなことをしても認めてくれる教室」と伝わっているようです。もちろん、危ないことやお友達を傷つけるようなことがおきる場合は止めにはいることはありますが、それ以外のことはその子がしたい表現として受けとめて、その子らしさとして認めていっています。

夏休みや冬休みに開催される野外体験学習では、自然に触れることでの五感刺激の体験ももちろんのこと、自然の中での実習を通して自分で考えたり、決断したりする力を育てていきます。仲間と話し合ったり、力をあわせてやったりする実習も多く、自然とコミュニケーション力も育てっていきます。グループシップを体験する機会にもなっています。

アートセラピー教室、野外体験学習セミナーと、一見、活動の内容は大きく違いますが、そこに流れるマインドとして、自由にのびのびと自分が表現することを体験することやその時間を自分なりに過ごした子へ「あなたと過ごせて楽しかったよ」と認めること(承認)は共通のマインドとして持っています。

どうしてこの活動をはじめたんですか?

「自分で決めて、自分で行動し、自分でほしい結果を創りだす」このコンセプトは、子どもであっても、いざという時に「自分を信じる力」がその子ども自身の命を救う、という理念に基づいて生み出されました。小学生になったら、自分の人生を誰か任せにするのではなく、自らの力で考え行動していく力を、理屈や座学ではなく、大自然の中で学ばせたいという願いを基にスタートさせました。

その後、アートセラピーに出会い、自分を表現するうえでアート表現が最も優れていると実感し、子どものためのアートセラピー事業を開始しました。母体となる、株式会社クエスト総合研究所で、アートセラピストの資格取得講座を実施し、子どもの心身のケアに興味のある卒業生に、それぞれの地盤でクラスを開講してもらうようになったわけです。

この活動の遣り甲斐や喜びはどんなときに感じますか

自由な表現をしていると、アイディアや発想、ストーリーを子どもは自然と語り出したり、表現しだしたりします。それらの言葉の中にある、その子らしいユニークさや個性に触れたり、ストーリーに隠れたその子の気持ちやいじらしさに触れたりした時にやっててよかったなと感じます。

きかん坊で、でもけっこう繊細な小1の男の子が「乗り物」がテーマの日に「最強のサイ」を木片で作って大事に持って帰りました。サイに旗もつけて。。。家庭の状況の変化もいろいろあった子なので、1,2年ほど落ち着かない時期もありました。低学年でしたので、サイが自分にとってどんなものか、ということは、言葉では上手に話してくれることはありませんでした。でも、「おすしやさんにも連れて行く」「一緒に寝る。お風呂も一緒だ。」「絶対人に貸さない」という言葉から、あのサイが生まれてきたことが彼にとってどんな意味があるのかなと想いを馳せると胸がじーんとします。

また、これは保護者側の言葉ですが、「家で子どもがいたずらした時に心置きなく子どもをしかれるようになった。以前は、叱りながらも発散させてあげられていないから、という自分への責めも感じたりしながら怒っていたが、いまは思いっきりやっていいのはアートセラピー教室の時!と子どもへ言えるので自分が楽。子どももそれで納得しています。」というお母さんのお話にはなるほど、と思いました。

子どもが成長したり、変化したりする様子を見て、保護者や家族も自由にのびのびしたり、いきいきしたりする話を聞くときもうれしいです。そういう時に家族はつながっているし、子ども一人の存在が家族に与えるものが大きいなあと感動します。

今後の夢と目標を教えてください

自由な表現の楽しさやそれがいかに心を育ててくれるか、ということを子どもだけでなく大人たちにも浸透させていきたいです。教室を卒業していく子どもたちは、自分を楽しませることが上手で、私たちのほうがはっとすることもあります。

究極的には、アートセラピーの視点を持って日常を楽しんで過ごせる人たちが増えることですが、そのためにも体験できる場や機会をもっと増やしていきたいなと思っています。いまは、自分たちで教室を開催していますが、幼稚園・保育園や学校の時間割で「アートセラピー」の時間があるようになったら楽しいなと個人的には思っています。子ども達が日常の大半を過ごすのは学校です。そういう場で定期的にそのような時間をもてるならば、子どもたちはますます健康で才能あふれるでしょう。その子ども達が大人になったら、健康的で生きるのが楽しくってしょうがない人たちがたくさんいる社会になるなあと想像します。

この活動に参加してみたいと思う人にひと言

展覧会イベントの会場設営のサポートや野外体験学習での、チラシ等のデザインや終了後の写真編集などのボランティアスタッフを歓迎しています。

直接子どもに関わる活動については、アートセラピスト資格が必要になりますが、そういったイベントなどで力を貸していただける方がいらしたらとてもうれしいです。

そのほか、私たちの活動やビジョンに賛同していただける方は、会員やサポーターとして年会費やご寄附をいただくと、活動報告をさしあげています。

取材者のコメント
古川勇樹 アートセラピー教室は、子どもたちがやりたいことをやりたいだけ、思いっきり表現できる場であるという。子供たちにとってはどんなにか楽しい時間であろう。その自由で楽しい表現体験が、子どもたちの心を育て、自らの力で考えて行動していく力、「自分を信じる力」につながるというお話が印象的だった。子供がのびのびと楽しそうにしていれば、保護者も気持ちが明るくなり、心に余裕が生まれるという波及効果にも、なるほどと思った。マナーやしつけ、知識や技術ばかりでなく、心や意思の力を育てる、こういった活動が教育現場にも広まっていけばいいな、と思った。
団体・プロジェクトの概要
代表者 理事長 柴﨑嘉寿隆
住所 東京都品川区上大崎4-5-37-5F
TEL/FAX
お問い合せ kodomomirai@cof.or.jp
URL http://www.cof.or.jp/