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NPO法人 ひとり暮らし高齢者の笑顔をつくる会

東京都

「新しい形のご近所づきあい」で高齢者のサポート

団体名・プロジェクト名

NPO法人 ひとり暮らし高齢者の笑顔をつくる会

NPO法人 ひとり暮らし高齢者の笑顔をつくる会の写真

活動エリア 大阪府(大阪市・吹田市・枚方市・松原市・東大阪市・堺市・羽曳野市・藤井寺市)、富山市、金沢市他
ジャンル 医療・福祉 地域活性化 

主な受賞歴や実績

契約者数326名、利用者数278名(2015.6.30現在)
在住地別契約者数 大阪302、石川県1、富山県20、その他3(2015.6.30現在)
主要連携事業所 103(2015.3.31現在)
売上計 7,317千円(2015.12.31現在)
寄付金 1,952千円(2015.12.31現在)

この活動について教えて下さい

私たちは幾度となく衝撃的な事案と向き合って参りました。認知症の進行で抗ガン剤の服用が休止になったと思い込み、誰にも気づかれず死の危険にさらされていた方。交通事故で両足を複雑骨折し手術ができぬまま退院、住まいの出口に段差があって外に出られないでいた方。激しい衰弱で体重が12kg落ちたにもかかわらず医師の前で元気を装い、医師も気づかないでいたケース。足が全く動かなくなったものの疾病が特定できず、出前の皿と使用済みのオムツに埋もれて倒れていた方。ガンと診断されたにもかかわらず入院を拒否され、ゴミ屋敷化した自宅で暮らしていた方。他にも、認知症による過食や徘徊あるいは認知症の親御さんと遠く離れて暮らすご家族の悲痛な思い、DVや、障害のこどもを抱える高齢者の方等々例を挙げれば枚挙にいとまがありません。既存の社会保障制度では救うことのできない方がたくさんおられます上記のような困難事案も含め、既存の制度で対応できないことは、実はとても多いのです。介護保険もあくまでも自宅や施設で生活するための最低限の制度であり、多様な価値観に基づいた人それぞれの生活を実現するためのものではありません。訪問介護のヘルパーさんは食材の買物代行はできますが本や電球は買ってくることができません。ビールやタバコといった嗜好品も不可ですし家具の移動や花木の水やり、窓清掃や床のワックスがけ等日常的な家事の範囲を超えるお手伝いもできません。病院の待ち時間の付き添いやお墓参りやご家族等のお見舞いの付き添い、入院中の洗濯や自宅の植物の水やりといったことも全て適用外です。

地域コミュニティの再生による「新しいご近所づきあい」 が目指すビジョンです。私たちは、超高齢化や独居世帯増加が加速的に進む中、2025年に向けた制度改革がいかに実施されようとも、ただ命を繋ぐだけではなく日常生活の彩りや精神の豊かさも担保できる社会の実現に寄与したいと考えています。
そのために、かつてあたりまえのように存在した相互扶助の精神を持つ地域コミュニティの再生を目指しています。
行政や社会福祉協議会、民生・福祉委員、病院、介護事業所等と密接に連携しながら、幇助の必要な方を近隣住民が少額謝礼でサポートする、言わば 「新しいご近所づきあい」がビジョンであり、ひとつのアプローチとして、介護保険をはじめ制度での対応が困難な 「どこに頼めばよいかわからない」 に、従来の常識を覆す内容・価格を持つサービスで応える仕組みづくりに取り組んでいるのです。

たくさんの笑顔を見せて頂けたことと、いくつかの命を救えたことが誇りです。
私たちは、主に地域包括支援センターや介護事業所、高齢者施設より制度対応が困難な事案をご紹介頂き、直近1年間では、延べ1,800回、時間にして3,600時間を超えるサポートを無事故で務めています。
例えば、通院時に必ず診察室にご一緒し、医師の診断や服薬に関する指示をご家族やケアマネジャーに詳細に共有することで、医療と介護を繋ぐ役割を果たしています。介護給付だけでは不足する家事や入浴等も務めます。離れてお住まいのご家族の代わりに親御さんの入院時の身元保証を務めることで入院生活のお手伝いはもちろん、様々な手続や措置への同意、医師からの情報収集まで代行し、ご家族の負担軽減に努めたりもしています。
一方、制度外サービスをより身近により利用しやすいものに感じて頂くべく「つらい、しんどいを少しでも楽しいに!」を行動指針に、普段外出が叶わない方には通院の帰り道に桜を観て頂いたりお買い物にお連れしたり、あるいはおひとり暮らしの方が望まれればお食事をご一緒させて頂いたりも致します。もちろん、どんなサービスを誰が求めているかといったリサーチ、料金を含めたサービス提供方法の策定・広報、サービス提供にあたるスタッフ募集・採用ならびに教育研修といった事業全域にわたるマーケティング活動にも重要なミッションとして鋭意取り組んでいます。

どうしてこの活動をはじめたんですか?

私は40歳でサラリーマンを辞めた後、中小企業の新規事業立ち上げや個人起業を支援する経営コンサルタントとして活動をしていました。つまり、日常的に様々な社会的な課題をリサーチし、課題解決のために事業としてどんなアプローチができるかを考えていたわけです。
そんなある日、クライアントの事務所のすぐ近くのマンションで、ひと冬の間に4人もの方が孤独死されたことを知り、大きなショックを受け、自らが何かアクションを起こすべきだと考えるようになりました。折しも、テレビでは上海で実施されているユニークな孤独死防止対策が取り上げられていました。「年老いた親をひとり暮らしさせている子供の定期的な帰省」や、「独居高齢者の近隣者による毎日のノックによる生存確認」を上海市が主導して正式な契約にするという内容でした。このようなやり方もあるんやなと驚きを覚えると共に、日本では相互扶助機能を持つ地域コミュニティの再生が効果的なのではないかとヒントを得ました。
その後200名を超えるケアマネジャーにリサーチを続け、そもそも独居高齢者にアプローチするためには介護保険制度との連携が欠かせないこと、孤独死防止もさることながらインフォーマル・サービスに高いニーズがあること等が明確になり、現在の活動を開始致しました。

この活動の遣り甲斐や喜びはどんなときに感じますか

20年ぶりという帰郷の旅をご一緒したり、殆ど外出の機会が無い方に想い出の場所で桜を見て頂いたり、通院の度にお気に入りの店に通い詰めて「いつものですね」と言われるようになってしまったり、この仕事を始めて良かったなと心から思います。すばらしい人生の大先輩方と本当に楽しい時間をご一緒できることはかけがえのない経験です。
一方で、一番ご依頼の多い通院のお手伝い、それも重い病気を患っている方をサポートする際は、体調等正しい情報をドクターにお伝えしなければなりませんし、ドクターの診断内容や服薬に関する指示は自分が完全に理解できるまでお聞きして、ご家族やケアマネジャーに正確にフィードバックしなければなりません。その方の命をお守りするという、遣り甲斐や喜びとはまた違った強い責任感を感じます。
私たちの活動は、インフォーマル・サービスですから制度に縛られるものではありません。もちろん会としてのルールは規定していますが、夜間の付き添いや救急搬送の付き添いをはじめ想定外のことが起きたり現場での判断が優先されたりするケースが多々あります。また利用者の方が心から喜んで下さったり真に必要とされたりすることであれば、多少のルール逸脱は大きな問題ではありません。
一番大事なことは、自分の行動が、倫理に基づき利用者の方にとって最良の選択肢たり得るか否かという一点に尽きます。そして、それを評価するのはご本人やご家族、ドクター、ケアマネジャーといった方達なのです。
ですから私も含めたスタッフが、ひとりの利用者の方と長いおつきあいをさせて頂けたときにこそ喜びを禁じ得ません。

今後の夢と目標を教えてください

私は、当会の活動を通じて、以下に掲げる三点の実現を標榜しています。
1) 相互扶助機能を持つ地域社会実現
2) 安定かつ誇りを持てる仕事創出
3) 日本経済の活性化
これらを実現すべく、中期的な目標として、2014年6月に中期経営計画を策定しました。
要約しますと、当会サービスの価値をFriendly・Flexible・Fineという3つの単語で端的にあらわし、全スタッフ共通認識の下、更なる活動実績積み上げによる当会プレゼンスの確立を目指し、継続的なリサーチや競合分析に基づく新サービスの開発や価格戦略策定、業務のマニュアル化、PR、教育研修充実といったマーケティング全域にわたる活動を加速させ、来るべき全国展開に向けた体力づくりに注力致します。具体的には2016年度までに大阪府内を中心に35市区でのサービス提供、契約者数600名を目標に掲げています。
更に2014年12月よりベイン・アンド・カンパニー社のフラボノによるコンサルティング支援を受けており、特に地域支援事業と保険給付再編の期限となる2017年4月に向けて、配食に頼らざるを得ない高齢者の方の食に関する支援を目的とした全く新しいファンド設立の準備を進めて参ります。

この活動に参加してみたいと思う人にひと言

当会は、介護保険だけでは不足する「どこに頼めばよいかわからない」に、従来の常識を覆すような低価格で応える仕組みづくりをめざしており、短期間で大きな成果を挙げつつあります。
設立以来、大阪府下一部地域にて活動を続けて参りましたが、各所から寄せられる多くのお問い合わせにお応えすべく、現在は、短期間ながら積み上げた様々なノウハウやリソースを活かし、サポート提供対象地域を拡大している途上であります。
2013年10月には富山市において、2014年7月には金沢市において、また2015年に入ってからは枚方市、東京都、京都府等でもサポート提供を開始致しました。ゆくゆくは、大阪府下全域はもちろん、日本全国の都市部にインフラの如く存在する福祉資源たらんことを目指し、鋭意取り組んで参る所存です。

もちろん、拙速とのお叱りを受けることのなきよう、利用者の方達へのきめ細やかな対応やスタッフへの的確な教育あるいはより良いオペレーションの確立等、行政や市民の皆様の信頼を得られるようなしっかりとした体制づくりも愚直に進めて参ります。
しかしながら、なにぶん小さな組織であり、特に財務面での安定には今暫く時間を要すると言わざるを得ません。
もちろん、融資を受けるという選択肢もありますが、あくまで公益活動として市民の皆様と一緒に活動を広げていきたい、そんな思いより、当会活動にご賛同いただける方の活動への参加ならびにご支援を広く募っている次第であります。人それぞれの様々な「困った」に応える、これからの日本を支える全く新しい仕組みづくりに、是非あなたもご参加下さい。
当会活動への参加・支援方法は、以下の通りです。詳細はホームページをご覧下さい。
・正会員になる・・・全正会員が等しく1票の議決権を持ち、総会等を通じて会の運営に携わって頂きます。
・賛助会員になる・・・議決権はありませんが、アドバイスや応援等サポーターとして会の活動に携わって頂きます。
・寄付をする・・・金銭の寄付や、自動車・車椅子等の物資協賛を通じて会の活動をサポートして頂きます。
・事業を主催する・・・ご自分のお住まいの地域で、介護保険外サービスを主体とした事業を立ち上げ運営して頂きます。現在、日本全域の都市部(主に県庁所在地)で募集しております。
・スタッフ登録をする・・・事業主催者と共にサポートを提供して頂きます。現在、大阪府一部地域で募集中。

取材者のコメント
古川勇樹 大家族だった昔と違い、今は孤立した高齢者が多い世の中になってきている。都会においては隣に住む人がどんな人かもよく知らないような状況があったりする。今後さらに高齢化社会が進むことで、どこにどのような助けを求めていいか分からず命の危機にさらされ孤独死をするような寂しい社会であってはならないと思う。これを家族だけの責任として負担をかけるのではなく、地域全体で高齢者を見守っていくことが行政任せにしない人の温かさある活動なのだろう。
団体・プロジェクトの概要
代表者 野﨑ジョン全也
住所 大阪府大阪市浪速区稲荷一丁目5番39号 ターミナルサイド太田702号
TEL/FAX 06-6585-7131/06-6585-7818
お問い合せ nozaki@npo1182.com
URL http://www.npo1182.com