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特定非営利活動法人 金澤町家研究会

東京都

金澤町家の継承、利活用で、金沢の歴史と文化を伝える都市景観を守る

団体名・プロジェクト名

特定非営利活動法人 金澤町家研究会

特定非営利活動法人 金澤町家研究会の写真

活動エリア 金沢市内
ジャンル まちづくり 

主な受賞歴や実績

・社団法人日本都市住宅学会業績賞(2010年度)
・第2回まちづくり法人国土交通大臣表彰特別賞(2013年度)
・かなざわ景観協力賞(2013年度)

この活動について教えて下さい

研究会の活動目的に対応して、下記のような様々な活動を行っています。これらの諸活動は、歴史的資源を生かしたまちづくり、都市づくりとして先駆的なものであり、歴史的資源の活用の促進は、地域や都市の個性づくり、持続可能な都市づくりにおいて重要な取組みです。

・2008年度より毎年秋に、市民向けの「金澤町家巡遊」を行っています。その中で、ツアー形式による町家の内部拝見と家主のお話しを聞く会、様々な町家でのイベント開催、町家での伝統工芸等の体験などを行っています。イベント期間中は延べ1,000~2,000人の参加があります。

・2010年度より、金澤町家の保存・継承に向けての取り組みの一環として「優良金澤町家」を認定し、認定証と当研究会がデザイン・製作したプレートを授与し、玄関付近への掲出をお願いしています。これまでに112軒の認定を行いました。

・2011年度より、金沢市より「金澤町家流通コーディネート事業」受託し、ユーザー(町家購入・賃貸希望者)とオーナー(町家所有者)のマッチングを進め、町家の活用促進を図ることを行っています。すでに多くの町家の利活用が実現しています。

どうしてこの活動をはじめたんですか?

金沢市は、歴史的な建築や町並みの保存、修景について積極的に取り組んできていますが、一方、そうした施策の対象にならないものも多く、継承や活用がなされないまま、空き家化や取り壊されて駐車場などに転用されているものも少なくありません。中心部の歴史的建築は、金沢の気候風土に合わせ、住まい、商い、作業場などとして発展、継承されてきたものです。城下町時代などの歴史を多世代にわたって継承してきている最も金沢らしい文化的な景観であるといえます。

金澤町家研究会は、このような問題意識のもとに、これまで金沢の歴史的建築に関わってきた研究者、建築技術者、コンサルタント、学生、一般市民などが自主的に集い2005年6月に発足し、2008年にNPO法人化され、金澤町家の継承と利活用を推進するために活動してきています。これまで、金沢市と連携しながら、金澤町家の実態調査や市民意識調査などを行うとともに、各種の講演会、シンポジウム、見学会、および、「町家巡遊」などのイベントの開催、「優良金澤町家」の選定と認定、「金澤町家流通コーディネート事業」などについて取組んできています。

この活動の遣り甲斐や喜びはどんなときに感じますか

町家で生まれ育った方の多くに、「冬は寒い、日中でも暗い、周りは新しく建て替わったけど我が家は古めかしく恥ずかしい」といったマイナスのイメージを持っている方も多いです。「優良金澤町家」の認定や、「町家巡遊」などのイベントを通じて、金澤町家の魅力や価値を再認識いただき、「先祖代々受け継いだものだからこれからも大事に残したい」などと所有者の気持ちに変化が見られたときには嬉しく思います。また、長年空き家となっている町家は活用されないまま解体され更地になってしまうこともあり、そのような空き家となった町家が「金澤町家流通コーディネート事業」等の働きにより、新しい利用者が現れ、活用されることが実現したときには、やはり、やりがいを感じます。

今後の夢と目標を教えてください

金澤町家のネットワークを広げ、多様な形で金澤町家の魅力を探訪し、触れ、様々な情報交換の場とすることを目的として、2015年1月に任意団体「金澤町家友の会」を設立し、活動をスタートさせました。参加の呼びかけは、金澤町家を利活用している方(居住者・町家ショップの運営者他)、金澤町家の利活用を検討している方(金澤町家流通コーディネート事業の登録者他)、「優良金澤町家」の所有者・利活用者、および、その他の金澤町家の保全・活用に関心のある方としています。当面は、NPO法人金澤町家研究会と連携・協力し、相互の取り組みがより発展的となる活動を目指しています。また、今年は研究会の設立10周年にあたり、これまで同様に、様々な活動を通じて金澤町家の魅力や価値を発信していきたいと思います。

この活動に参加してみたいと思う人にひと言

「町家巡遊」などは、会員以外の方でも広く楽しめる企画も多く、気軽に参加いただき、あまりよく知らない方でも、金澤町家の魅力に触れるきっかけとなればと思っています。金澤町家の保全・活用に関心のある方は「正会員」や「友の会会員」として入会いただき、活動に参加してほしいと思います。

取材者のコメント
古川勇樹 行政の街並み保存事業の対象から漏れるような、一般の人たちのプライベートな生活空間である家屋にも、金澤町家として、城下町の歴史が現在でも色濃く残っているというお話を伺い、金沢の街の奥深さを感じた。空き家となり解体されてしまう町家もあるとのお話であったが、失われてしまえば再び同じものを作ることはできないし、作りや見た目をそっくり立て替えても、その家で人々が暮らしてきた痕跡は消えてしまう。金沢の気候風土に合わせて人々が暮らしてきた歴史を生き生きと伝える金澤町家が、少しでも残されていくよう、この団体の活動に期待したい。
団体・プロジェクトの概要
代表者 理事長 川上光彦
住所 金沢市東山2丁目1-7 ギャラリー&カフェ椋(むく)内
TEL/FAX (076)253-3517
お問い合せ kanazawa-machiya@nifty.com
URL http://kanazawa-machiya.net/