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特定非営利活動法人 鳳雛塾

東京都

起業家教育で子供たちの力を引き出して伸ばす

団体名・プロジェクト名

特定非営利活動法人 鳳雛塾

特定非営利活動法人 鳳雛塾の写真

活動エリア 佐賀県(主に佐賀市)
ジャンル 教育・学習支援 

主な受賞歴や実績

1997年11月/ SAGAベンチャービジネス協議会設立(現NPO前身)
1998年1月/ 佐賀大学理工学部寄附講座の支援開始(大学生向けベンチャー講座)
1998年4月/ 平成弘道館の開講(ベンチャー経営者向け交流会)
1999年10月/ ベンチャー起業スクール鳳雛塾第1期開塾
2002年9月/ 小学生向け起業家教育事業開催(主催:佐賀市)
2003年度/ 日経地域情報化大賞日本経済新聞社賞受賞
2004年6月/ 九州経済産業局主催「起業家教育普及事業」に協力
2005年6月/ NPO法人鳳雛塾設立(法人化)
2005年6月/ 経済産業省「地域自律・民間活用型キャリア教育プロジェクト」受託
2008年4月/ 佐賀市経済部より「体験型起業家育成教育推進事業」の事業受託
2009年4月/ 佐賀市教育委員会より「佐賀県緊急雇用対策事業」の事業受託
2010年6月/ 経済産業省「キャリア教育民間コーディネーター育成・研修システム開発事業」 再委託事業受託
2010年度/ 総務省地域づくり総務大臣表彰団体表彰受賞
2013年度/経産省キャリア教育アワード 地域企業協働の部 優秀賞受賞

この活動について教えて下さい

子どもたちが夢や希望を抱き、地域を担う立派な鳳凰になるためには、小・中・高校生の時から、多くの大人や職業と出会う機会を増やし、健全な職業観の醸成を実現する「キャリア教育」が重要と考えられます。

鳳雛塾では、これまでに取り組んできたケースメソッドを用いた実践的な経済・経営教育といった起業家教育を、小学生・中学生・高校生の授業に導入し、自ら考え、自ら学び、自ら行動する「生きる力」と「人とつながる力」(=起業家精神)を養成するキャリア教育を実施しています。これは必ずしも、子どもたちに将来起業してもらうことが目的ではありません。新たに事業を起こそうとしている人が直面する様々な課題や困難に立ち向かい、乗り越えていく際に必要となる強い精神は、起業家のみならず、社会に参加するすべての人々に必要な能力であり、学校教育の一部に採り入れることで、子どもたちが大人になって社会に出る際に役立つのではないかという想いからこの事業は始まっています。これらの取り組みを実施することで、幅広いビジネスキャリア能力のポテンシャルをもった子どもたちが養成され、将来の地域を担う人材を多く輩出することを目的としています。

■プログラム
小・中・高校生向けのプログラムは、構成や内容は異なりますが3か月から9か月程度をかけて、年間で平均40~60時間実施するものが多いです。講義は、外部講師もいますが、基本的には、鳳雛塾事務局とクラス担任の先生が役割分担をして行っています。全体のコーディネートと企業等との連携については鳳雛塾の事務局が担当しています。

各年代向けのプログラムは各種ありますが、主なものは下記のとおりです。総合的な学習の時間(総合学習)などを活用して通常の授業の一環として実施しています。運営には県や市、教育委員会の支援を受けています。

① 学校
小学生向けの「出店販売体験プログラム(キッズマート)」は、地元商店街や佐賀駅等で出店販売体験活動を実施するために、市場調査から商品の仕入れ、値付け、広報活動、事業計画作成、商売実践、収支決算に至るまでの一連の企業(商売)活動を、ケース教材等を用いて学びます。

子どもたちは6人程度のグループに分かれ、「社長」や「仕入れ」「会計」などの役割を担います。また、実際に商店街などでのインタビューやアンケート調査など、市場調査を通じて、仕入れ商品の決定や値付けを行います。商品の仕入れに当たっては、上限を15,000円とし、事務局が銀行の役割を担い、実際にお金を借ります。お金を借りる際には、事業計画書を提出し、銀行に自分たちのお店や事業計画について説明しなければなりません。そして、地元ケーブルテレビ局などに出演して広報活動を行い、出店販売を体験します。特色のある看板やチラシを作成し、お客さんの注目を集め、時には値下げをするなど、実際にお客さんと駆け引きをしながら、子どもたちは完売に向けて奮闘します。販売後は、売上計算・利益計算を行い、借りたお金を銀行に返済します。その後、なぜそのような結果になったのか振り返り、みんなで考えます。利益の使い道は、先生も一緒になって考え、図書館の本の購入、学校の備品の購入、寄付などに充てているそうです。このように様々な人と触れ合う中で、児童の自主性を尊重した教育活動を実現しています。
②中学校
中学生向けの「職場体験プログラム」は、3~5日間の就業体験(インターンシップ)を中心に、職業観や就業観の養成、ビジネス能力の醸成を図ります。職場体験後も学校・生徒と受け入れ企業とのコミュニケーションの場(発表会)を設け、学校独自で地域の人たちを構成員とした運営委員会を開催するなど、学校と地域企業・産業界の連携強化を図り、持続的な関係構築にも取り組んでいます。協力企業は約300社にものぼっています。

③高校
高校生向けの「製造販売体験プログラム」では、小学校の販売体験プログラム(キッズマート)に、マーケティングなどのより専門的な知識の習得と自分たちで商品を開発する「ものづくり」を付加した起業家教育となっています。自分たちが分析したマーケティングによって商品企画を考案し、協力企業の指導を受けオリジナル商品を開発し、企業の課題に対してコンサルティングまで実施するプログラムです。一連の企業活動を実践的に取り組むことによって「起業」することを学びます。

どうしてこの活動をはじめたんですか?

SAGAベンチャービジネス協議会が支援した佐賀大学の「ベンチャービジネス支援先端技術講座」は、佐賀大学生の起業を支援する講座として開講されていましたが、学生が起業を志しても大学だけでは支援に限界があるという課題に直面していました。

現在、鳳雛塾理事長を務める飯盛義徳(慶應義塾大学総合政策学部教授)は、平成8年、佐賀県が公募した「県政への提言論文コンテスト」に応募し、その中で「学びのコミュニティ」の重要性を指摘し、優秀賞を獲得しました。当時、佐賀銀行の行員としてベンチャー事業育成に携わっていた横尾敏史氏(鳳雛塾元事務局長、現副理事)が佐賀新聞に掲載されたその論文に共感し、二人が出会うことによって平成11年に、九州初の実践的なビジネススクールとして鳳雛塾がスタートすることとなりました。そこでは、大学生のみならず、社会人も対象とし、戦略的意思決定、積極的行動を体得するような実践的な経営教育を行い、志の高い若者のコミュニティを形成することによって、起業に挑戦する若者への支援を続けることとしました。

さらにビジネススクール鳳雛塾を通じて、大学生や社会人に教える「起業家精神」を小・中・高校生向けにアレンジし、出店販売体験や就業体験を通じて、多くの子どもたちの将来の夢や職業観、起業家精神、チャレンジ精神を育むことを目的に平成14年に小学生向け起業家教育の「佐賀キッズマート」がスタートしました。

この活動の遣り甲斐や喜びはどんなときに感じますか

キッズマートの授業はゴールデンウィーク明けから始まります。販売体験をするのは11月です。週一回の授業を通し長い期間で準備をします。そんな販売体験ですべての商品を完売した時の子どもたちの笑顔は最高です。単純に商品が売れたという嬉しさもあるとは思いますが、やりきった笑顔、達成した喜び、充実感をその笑顔の中から感じることができます。準備期間が長く苦労も多いほど子どもたちが味わう達成感も大きいのだと思います。

またキッズマートの色々な作業の役割の中で、普段の授業ではあまり活躍の無い子が自分の得意分野を見つけ活躍している姿を見るとうれしく思います。周囲もその子の特性を理解し認め合う姿はとても微笑ましいものがあります。

我々の授業では突拍子もない発想も大歓迎です。(むしろそちらを期待します。)普段の授業では否定されそうな言も自分の意見が受け入れられた時の得意げな表情もとてもいいです。とにかく子どもたちの屈託のない喜びの表情に勝るものはありません。

今後の夢と目標を教えてください

我々が関わった子どもたちが将来大人になり思い悩んだ時、我々との授業のことを思い出し前向きに頑張れるきっかけになれたらと思います。プログラムも先生方や子供たちの希望や思いに合わせていろんなオプションが広がればと思います。現状は労力が限られてはいますが、要望があれば佐賀県内はもとより日本全国どこででもこのプログラムを実施でき、子どもたちの成長の一助になれればと思います。

この活動に参加してみたいと思う人にひと言

我々はキャリアコーディネーターという意識で活動しています。コーディネーターというのは自分の思いや手法を押し付けるのではなく、享受者の真の思いをくみ取り具現化するために柔軟に、前向きに取り組むことが必要だと思っています。(もちろん自分の思いもしっかりと持ちながら)

取材者のコメント
古川勇樹 キッズマートが販売だけを体験するのではなく、事業計画を立ててお金を借りるところから考えるというとても本格的なもので、小学生がこのプログラムに挑戦しやり遂げていることに驚いた。いくつもの課題を乗り越えて達成していく子供たちのお話を伺って、私たちが思っている以上に子供たちの能力や可能性は大きいものであり、それを引き出して伸ばしていく導き方が大変興味深いと思った。ビジネスを考える大人のためだと思われがちな起業家教育であるが、自ら必要なことを考え、仲間を集め、物事を動かしていくという、地域社会の柱となる人材に求められるスキルが詰まっているのだとよく分かった。
団体・プロジェクトの概要
代表者 理事長 飯盛義徳
住所 佐賀県佐賀市本庄町1番地 佐賀大学産学・地域連携機構3F
TEL/FAX 0952-28-8959
お問い合せ info@housuu.jp
URL http://www.housuu.jp/main/