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特定非営利活動法人 エスビューロー

東京都

小児がんの患児や家族を支えるコミュニティ

団体名・プロジェクト名

特定非営利活動法人 エスビューロー

特定非営利活動法人 エスビューローの写真

活動エリア 全国
ジャンル 医療・福祉 

主な受賞歴や実績

小児がん患者やその家族、小児がんで子供を亡くした家族からの相談事業や、シンポジウム、講演会、グループワーク、サマースクールなどを通して患児、経験者のコミュニティづくりを行っています。

この活動について教えて下さい

団体の設立以来、日常的に行っている活動は、小児がん患児・家族、および小児がんで子どもを亡くした喪失家族からの相談事業です。セカンドオピニオン、治療の選択、復学・進学、晩期障害、就労、さらには喪失やきょうだいに関する事柄まで様々な相談を受ける中で、皆さんに共通した課題や、強いニーズのあるテーマを取り上げて、毎年夏に2泊3日で小児がん脳腫瘍全国大会を開催しています。小児がん医療をはじめ特別支援教育や福祉、脳科学や各種セラピーの専門家を招き、シンポジウムや講習会、グループワークや見学会を実施しています。また子ども向けにはサマースクールを同時開催して患児、経験者のコミュニティづくりを促進しています。小児がん拠点病院と連携した活動が当団体の大きな特色となっています。

どうしてこの活動をはじめたんですか?

わが子が白血病で阪大病院に入院中、毎日24時間付き添う中で、同室の子どもたちが次々と命を落としていくのを目の当たりにし、「この子たちのために私は絶対何かしなくては・・・」と思ったこと。そんな中わが子も急変で亡くなり、自分より半年前に小児がん神経芽細胞種で同様に子どもを亡くした安井(現副代表)が毎日自宅に訪問してくれたことで一緒に泣き、悲しみを共有でき何とか前を向けたこと。そして後日学会で主治医に出会い長時間話をした結果、いかに患者側と医療側で考え感じていたことに誤解があったのかを知り、これではいけないと医師と患者側の相互理解を深める必要性を痛感したこと。この三つの出来事が団体発足のきっかけとなりました。

この活動の遣り甲斐や喜びはどんなときに感じますか

自身もわが子を亡くしているため、やりがいや喜びというような感覚ではありませんが、わが子がいたからこそ縁のできた医療者や闘病仲間と活動を通じて今を共有できることが自身の生きる糧であることは間違いありません。その活動の中で、小児がんで治療の甲斐なく子どもを亡くした親御さんが、電話や直接に相談に来られた際、話を聞き、ともに泣き、経験から言えることを伝えると、相談者が「その通りなんです!私も同じです」と笑って賛同して頂けたときや「本当に気が楽になりました!お話しできて良かったです」と会員の登録を即決し今後もよろしくお願いしますという言葉を貰ったときは、何かの支えになれたかもしれない、わが子の短すぎた人生も役立ったかなと、役立ちがいを感じることができます。

今後の夢と目標を教えてください

団体設立から15年、小児がん・脳腫瘍全国大会開催から8年たった現在、これまで協力頂いた方々との縁や団体に蓄積されたコンテンツやノウハウを活かし、年間を通して「エスビューロー小児がんカレッジ」を開催できるようにしたいと考えています。これまで小児がん脳腫瘍全国大会でイベント的に実施してきたプログラムを4月から翌年の3月まで分散してコース開催するイメージです。以下のような内容を想定しています。

小児がん治療の最前線(拠点病院、臨床研究、海外事例など含む)のセミナーをはじめとして、晩期合併症である高次脳機能障害や社会性の発達遅延のリハビリテーションの方法(作業療法、園芸療法、音楽療法、運動療法、笑い療法などのアクティビティ)、親やきょうだいを含めた精神的な支援(心理的プログラムの自主勉強会)、学習の遅れや復学・進学の過程で生じやすい「いじめ」や孤立など教育面でのサポート(特別支援教育関係者との連携セッション)、就労支援(利用できる制度や社会資源を学ぶレクチャー)、異性問題(車座トーク)、喪失からの回復(哲学をテーマにした勉強会)などです。

この活動に参加してみたいと思う人にひと言

私たちのホームページの冒頭には「ひとりじゃないよ」「困難は成長に変えられる」という2つのメッセージが流れています。はじめは誰しも、僕に、私に、私の家族に、どうしてこんなことが起こったのだろう…という絶望感があります。しかしやがて何とか乗り切ろうと頑張っている仲間と出会い、その姿を見て、「ひとりじゃないんだ」と前を向きはじめます。そのような仲間に加わっていただける当事者の方々、ぜひ会員になってください。お待ちしております。

そしてさらに、私たちは思っています。「困難は成長に変えられる」と。誰しも長い人生において、「不条理な」、あるいは「なんと理不尽な」と思う出来事が起こるものです。そんなとき人はどのように考え行動するのか、私はどのように考え、私たちに何ができるのか?当事者以外の方にとって「小児がんの世界に関わる」ということは、まさに「このことを学ぶ」ということです。こうした視点で関わっていただける方々、ご支援とご協力をお待ちしております。

取材者のコメント
古川勇樹 治療の選択や闘病生活での悩み、家族を失う悲しさ、患者側と医療側の考え方や感じ方のギャップなど、経験した人でなければ分からない、分かち合えないものの存在を強く感じた。この活動をされている方々のように、自らの悲しみや苦しみと折り合いをつけて前を向くことができた人たちがいるからこそ、その人たちに支えられてまた別の人たちが立ち直っていく。当事者以外には本当の意味で分かりあえるものではないけれども、深い悲しみに沈んでいた人が前を向いて立ち直っていく姿は、周りで見守る人にも勇気を与え力づけることであろうと思った。
団体・プロジェクトの概要
代表者 安道照子
住所 大阪府茨木市南春日丘7丁目5番8号
TEL/FAX 072-622-6730(FAX兼用)
お問い合せ esbureau@hcn.zaq.ne.jp
URL http://www.es-bureau.org/