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北海道大学北方生物圏フィールド科学センター植物園

東京都

生物多様性を守る最前線!
植物園の使命とは!?

団体名・プロジェクト名

北海道大学北方生物圏フィールド科学センター植物園

北海道大学北方生物圏フィールド科学センター植物園の写真

活動エリア 国内
ジャンル 自然保護 

主な受賞歴や実績

詳しくはコチラをご覧ください。
http://www.hokudai.ac.jp/fsc/bg/index.html


※トップ写真は絶滅危惧種のエゾムラサキツツジ。見かけてもそっとしておいて下さい。

この活動について教えて下さい

植物園としての重要な活動の一つとして、絶滅危惧種の保全・研究があげられます。多くの生物種が環境の変化や人間活動によって急激に絶滅している現状で、多様な生物種の遺伝資源を保存することは重要な仕事になっています。大雪山や中部山岳をはじめとする日本の高山では、地球温暖化の影響のほかシカによる食害によって、多くの高山植物が絶滅の危機にさらされています。こうした植物を保全したり、札幌といった低地でも育成や増殖ができるよう研究を行っています。もちろん一般市民にも開放されており、植物を楽しむだけでなく、多様な知識を得てもらえる講座等、機会を設けております。

どうしてこの活動をはじめたんですか?

絶滅が危惧されている種の保存というのは、いま世界的な流れでもあるんです。かつて、園芸ブームとか山野草ブームの流行で、幾つかの種が乱獲されて絶滅の危機に陥ったことがあるんです。有名なところだとエーデルワイスやアツモリソウとかですね。営利目的ということもありました。そうしたこともあり、本植物園では、自生地が災害等で失われても遺伝資源が絶えることのないよう、自生地外で遺伝資源を保存する「生育域外保全」に力を入れるようになりました。今では植物園の代表的な使命のひとつでもあるんです。とくに大学等の植物園は研究もあるので力を入れていますが、昨今は大学以外の植物園の意識も高まっています。

この活動の遣り甲斐や喜びはどんなときに感じますか

大学の植物園ということもあり、また私自身が研究だけでなく、教える立場でもあるので若い学生が植物の多様性や保全に興味関心を覚えてくれるというのがうれしいですね。たとえば彼らのレポートを読んでいて、植物に対して関心が芽生えていたり、この道を進んでいこうとすることが読み取れたりすると、本当にうれしくなります。

今後の夢と目標を教えてください

ひとつは、私自身の研究である植物の分類についてより深めていくことです。あまり知られていないのですが、「柳」と「スミレ」は親戚と言えるほど近しいとご存じでしたか? それぞれの雌蕊を割って断面を比較して見るとよく似ています。またスミレは草と思われがちですが、熱帯では木が主流というところもあるんですね。また自生地に影響のない形で北海道の植物を網羅して集めていき、研究等に寄与できるよう植物園としてより充実した体制になっていけばと思います。

この活動に参加してみたいと思う人にひと言

一人の研究者として、学生に向けてのメッセージとなりますが、志した道をあきらめて欲しくないと思います。小さい頃、興味関心を持っていた道というのは、続ければ必ず開けると思います。私も一時困難に直面し、植物なんて見たくもないと思った時期や、違う道に行こうと思ったこともありました。しかし、結局は最も興味のあったこの道を続け、生涯追い求める立場へとたどり着き、今は幸せな研究生活を送っています。夢は簡単に諦めないで欲しいと思います。

取材者のコメント
加藤夏樹 今回取材を受けてくれたのは、助教・東隆行先生だ。植物分類学を専門とし、絶滅危惧種の集団遺伝解析や北海道の地域フロラについて研究を行っている。そんな先生のインタビュー中には、「ヤナギとスミレが実は非常に近い、親戚のような種となんですよ」と、素人には驚きの話も出て、興味が尽きなかった。また、昨今は絶滅危惧種の保存が植物園の使命の一つであると教えていただいた。そして人類が自ら招いた温暖化や営利目的の乱獲等による絶滅から、先生たちのような地道な研究活動が一つひとつの種を守り、この地球の生物多様性に貢献されているのだなと感じた。ちなみに本記事写真はエゾムラサキツツジ。絶滅危惧種なので、もし見かけても、決して摘んだりしないでくださいね。
団体・プロジェクトの概要
代表者 冨士田 裕子
住所 札幌市中央区北3条西8丁目
TEL/FAX 011-221-0066/011-221-0064
URL http://www.hokudai.ac.jp/fsc/bg/01hour_fee.html